歯を治療する際に麻酔薬を使い分ける必要があるのでしょうか?


【2023年3月12日 8:29 AM更新】


新潟市西区の歯医者、歯科医|松田歯科医院の院長 松田拓己です。

 

 

代診の先生から歯の治療の際に痛みを少なくするために使用する
麻酔の薬についてご質問をいただきました。
 
『本日は、局所麻酔を行う機会が多かったので、
そのことに関して質問させてください。
 
松田歯科医院ではエピネフリン含有リドカイン(オーラ注)と、
フェリプレシン含有プロピトカイン塩酸塩(シタネスト-オクタプレシン)を
頻繁に使い分けているように思いました。
 
どのように使い分けているか詳しく教えていただければ幸いです。
 
また、下顎孔伝達麻酔は、頻繁に利用するかどうかに関して
賛否意見があるように思います。
 
私としては、伝達麻酔を多く利用している先生のもとで学んだ経験から、
有効性があるように感じていますが、先生はどのようにお考えになるでしょうか。』
 
いつも、ご質問をいただいてありがとうございます。
 
先生の仰るとおり、歯科では通常キシロカイン、オーラ注等の
リドカイン製剤が局所麻酔薬の第一選択として使用されています。
 
リドカインの麻酔作用は強力ですが単独では作用時間が短いため、
歯科用の製剤には血行を減少させて麻酔を長時間効かせるために
血管収縮薬のエピネフリンが添加されています。
 
エピネフリンにより作用時間の延長、薬剤使用量の軽減が得られるのですが、
副作用として脈拍の増加・血圧の上昇があり
エピネフリン過敏症の方に使用することは控えなくてはなりません。
 
従来からリドカイン製剤の使用が難しい症例では
フェリプレシン含有プロピトカイン製剤が歯科では使用されていましたが、
鎮痛作用・血管収縮作用とも不十分なため
患者さんと術者両方がストレスを感じる場合が多かったように思われます。
 
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当院で使用しているスキャンドネスト(日本歯科薬品株式会社)は
日本で発売されている唯一の血管収縮薬無配合の歯科用局所麻酔剤です。
 
主成分であるメピバカインは
カルボカインという商品名で医科では長年使用されており、
以前は歯科用も販売されていましたのでリバイバルといえます。
参考)カルボカインの歯科保存領域における臨床成績
 
血管収縮薬が添加されていないので作用時間は30分と短く
止血作用も期待できませんが、
麻酔効果の発現はリドカインよりも早く
鎮痛作用はフェリプレシンよりも強力でリドカインと同等といわれています。
 
早く十分な強さで効いて早めに覚めてくれるので、
短時間で済む処置には好都合といえます。
 
特に女性の前歯の処置のように
早めに麻酔が切れて欲しいケースにはピッタリです。
 
上顎では問題なく麻酔の効果が得られますので、
エピネフリン過敏症の患者さんでは止血に注意さえすれば親知らずの抜歯も可能です。
 
フェリプレシンと比較して応用範囲の広い薬剤といえるでしょう。
上顎前歯のCR等には第一選択と考えています。
 
下顎孔伝達麻酔は浸潤麻酔の奏功しづらい下顎臼歯部の処置では
必要となることが多いですね。
 
特に骨に強い力がかかりやすい下顎臼歯の抜歯やインプラント埋入では
積極的に行うべきだとわたしは思います。
 
偶発症を避けるために同法を行わないとする考え方もありますが、
局所麻酔薬の使用量を減らす、術後の疼痛を軽減する、
痛みによるストレスを減らすためには
偶発症の危険性の少ない術式を採用して
麻酔、処置を行うことを重視すべきでしょう。
 
参考)浸潤麻酔の感覚で伝達麻酔を!近位伝達麻酔 (平成21年度制作 日歯生涯研修ライブラリー)日本歯科大学生命歯学部歯科麻酔学講座 砂田 勝久 教授

 
痛くない局所麻酔」松本歯科大学 笠原 浩 名誉教授
 

歯科医師 松田拓己

(新潟市西区の歯医者、歯科医|松田歯科医院 院長)

 

 

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住所:新潟県新潟市西区小針7-5-13
公式サイト:https://www.matsudadent-whitening.jp/







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